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第103回 ヘルシークッキング
ダイエットの食事 糖尿病
糖尿病では、血糖値の高い状態が続くことから、血管やその他の臓器に異常が生じてきます。インスリンというホルモンの効きが正常でないことからこれらの症状があらわれてきます。薬の服用やインスリン注射によってコントロールすることが必要になってくる場合も多いです。ただ、初期において、また薬物療法をしている場合でも、食事に気をつけて運動をすることによって、体の環境を整えることで作用しにくくなったインスリンの効きをよくすることができます。また正常状態よりも分泌する量の少なくなったインスリンでも血糖値がコントロールできるような効率の良い食事と運動を行うことによって、合併症の発症を最小限にとどめることが可能です。そこで今回は、効率の良い食事に焦点を当てみました。
開催日:平成19年7月21日(土)
和食
洋食
林泰先生より
糖尿病とは「インスリン作用が不足したために起こる慢性の高血糖を主徴とした疾患群」と定義され、1型糖尿病と2型糖尿病に分けられています。日本人ではその5%が1型糖尿病で、残り95%近くが2型糖尿病です。
黒人男性とうつ病
1型糖尿病
1型糖尿病は膵臓にあるインスリン産生細胞であるβ細胞が減少して、インスリンが絶対的に不足してしまった結果発症する糖尿病で、インスリン注射が必要です。若年のうちから発症することが多く、原因は自己免疫性と特発性に分類されていますが、自己免疫異常によって膵β細胞が破壊される自己免疫性が多くを占めています。
発病早期からインスリン療法を開始し、膵β細胞の負担を軽減させるのが膵機能を保つためによいとされています。毎食前に速効型インスリンを朝・昼・夕食前に注射してインスリン分泌を補充し、就寝前に中間型インスリン注射をして夜間の基礎分泌を補充する4回注射が基本的になっています。昼間の基礎分泌は、速効型インスリン薬にもある程度の持続性があることで補います。血糖自己測定(SMBG)も必要に応じて行いましょう。血糖測定をしたら必ずデータをノートに記載し、受診の際に主治医に見せて下さい。インスリン注射ですが、最近開発された簡便なペン型のインスリンを用いると、インスリン量の計量が簡便で、使い捨ての細くて短い針で痛みも少なくて済みます。両側の腹部と大腿部に順番に注射します。
目標血糖値は各食前70-110mg/dlですが、低血糖を自覚しない例では、低血糖予防のため目標血糖値をやや高めにします。食事療法と運動療法が大切で、運動をする日はインスリン量を少し減らしたり、食事量を増やしたりします。おおよその目安として食事1単位(80kcal)に対して1単位のインスリンが必要で、高血糖を正常化する際には1単位のインスリンで約25mg/dl程度低下するとされています。
1型糖尿病の場合、2型糖尿病と違って食事制限はなく、食事量は同年代の健康者と同程度で良いのですが、長期的に体重や体脂肪が増加しない程度にします。
食事が摂れない場合でも、基礎分泌量のインスリンを最低限注射しておかないとケトアシドーシスや糖尿病性昏睡を引き起こす場合もありますから、注意が必要です。食事量が少なかったり、激しい運動をしたりした後は低血糖を起こすことがありますが、そのような場合はブドウ糖、砂糖、清涼飲料水などを速やかに摂取して下さい。症状が治まったら何か食事をして、主治医に連絡して下さい。内服薬やインスリン量を減らす必要があるかも知れないからです。低血糖を繰り返していると、眼底出血などを引き起こすため好ましくありません。
"現実療法"と "うつ病"
2型糖尿病
この型の糖尿病は食べ過ぎ・飲み過ぎ、運動不足が大きな原因です。インスリン作用の不足は、インスリン分泌の低下とインスリン抵抗性の亢進によって生じます。インスリン抗体がある人はインスリン本来の仕事が充分に出来ないのです。2型糖尿病患者の家族に高率に糖尿病を認めることから、遺伝因子は明らかです。また、欧米化した食事と運動不足、その結果としての肥満が大いに関係しています。特に動物性脂肪と糖質の摂取過多が問題です。慢性の高血糖により様々な血管合併症が進行して網膜症、腎症、神経障害などを起こします。生命予後に影響する冠動脈疾患や脳血管障害の予防には血糖値のコントロールの他に、血圧や脂質を含めた危険因子の管理が重要です。
2型糖尿病の場合、特に生活習慣の改善が必要です。厳格な生活習慣の改善により、発症リスクを約6割も減少させることが出来ると報告されています。
食事療法の目的は、食事制限による摂取栄養素とそのバランスを適正にすることによって、代謝を正常にすることです。摂取エネルギーを適正にし、脂肪や糖質の摂取を制限し、食物繊維の摂取を増やすことが基本で、さらに必要に応じてコレステロール制限(高コレステロール血症)、塩分制限(高血圧)、蛋白制限(腎症)、プリン体制限(高尿酸血症)などを追加します。
1時間の速歩で消費できるカロリーは約3単位(240kcal)程度であり、食事量の増加を運動で消費するのは容易ではありません。運動療法の目的は骨格筋の量や血流を増やし、体脂肪量を燃焼させることによって、インスリン感受性と基礎代謝を高めることにあります。1回に20分以上の有酸素運動を週に3回以上行うことが勧められています。
同じ肥満でも皮下脂肪型より内臓脂肪型の方が代謝異常と強い相関があるため、体重だけでなくウエスト周囲径の減少を目指します。高度な肥満者では現在の体重より5-10%減量するだけでも、肥満に伴う代謝の多くが改善することが報告されています。
オーストラリアの肥満について
薬物療法
経口血糖降下薬
1)インスリン分泌低下の改善 スルフォニル尿素薬
膵臓β細胞に働きかけてインスリン分泌を増加させて強力に血糖値を低下させます。グリミクロン、オイグルコンなど。第3世代のアマリールには、インスリン分泌刺激以外にインスリン抵抗性改善作用があるため、幅広く用いられるようになりました。
2)食後高血糖の是正
日本人の2型糖尿病の多くは食後にインスリン追加分泌が出来ないために食後過血糖になってしまうのが特徴的です。食後過血糖は心臓や脳などの大血管症の進行を促進させてしまうとされています。グルコバイ、ベイスンなどのα-グルコシダーゼ阻害薬は小腸で二糖類の分解を阻害して糖の消化吸収を遅らせることで食後過血糖を防止します。本剤を使用すると糖尿病予備軍である耐糖能異常の段階から糖尿病へ進展することを有意に抑制すると報告されています。一方、グルファストは速効型インスリン分泌促進薬でインスリン分泌促進作用が速やかに発現して速やかに消失し、食後過血糖、空腹時血糖、ヘモグロビンA1cなどを低下させます。スターシス、ファスティックなども速効型インスリン分泌促進薬で、食直前の服用で一過性� ��インスリン分泌を促進し食後過血糖を抑制します。
3)インスリン抵抗性の是正
日本人の2型糖尿病でも欧米のようにインスリン抵抗性亢進を伴ったものが増えています。臨床的には肥満、高脂血症、高血圧などを伴うことが多いのです。治療薬として用いられているアクトスは女性で浮腫を起こしやすいという副作用があるため注意が必要です。同じ作用をする薬剤にはビグアナイド系薬剤である塩酸メトホルミン(メルビンなど)もあります。アマリールもインスリン分泌を増やしながら、インスリン抵抗性を改善する作用もあるとされています。
インスリン療法
経口薬を用いても高血糖が持続したりケトーシス傾向があったりする場合には、2型糖尿病でもインスリン療法を行います。
1型糖尿病治療と同じように1日4回注射するのが望ましいのですが、実際にはレギュラーインスリンが70%、ラピッドインスリンが30%混合されている30Rなどの混合型インスリンを1日2回打ちするように処方することが多くなっています。2回打ちの場合、インスリン量は朝夕の比率を2:1程度とします。新規導入時には、血糖自己測定(SMBG)を頻回に行うのが理想です。
食事療法
肥満は、脂肪細胞に中性脂肪が過剰に蓄積された状態と定義されることにより、エネルギーの収支を負に傾けることが治療の原則であり、食事療法が治療の基本となります。要するに、消費カロリーより摂取カロリーが少ない状態を続ければよいのです。
食事療法には1日600〜1500kcalの低カロリー療法があります。この療法では、摂取エネルギーは入院では600〜1200kcl、通院では1000〜1500kcalとし、食品交換表を用いて摂取食品の内容とカロリーについて単位を使って指導します(1単位80kcal)。減量は月に2〜3kgを目標にします。エネルギーは制限しても最低1.0g/kgの蛋白質、十分なビタミン、ミネラルを含むことが必要であり、空腹感を防ぐために食物繊維を十分に摂るようにします。
胆のうポリープ・腺腫
健康診断などで発見される胆のうポリープは殆どがコレステロールポリープです。コレステロールポリープは良性腫瘍ですから6-12ヶ月毎に経過観察をしていればよいのですが、10mm以上の大きなもの、増大傾向が見られるものなどは腹膜鏡下胆のう摘出術を行います。胆のう腺筋過形成、腺筋症などは無症状であれば6ヶ月毎の経過観察で良いのですが、がんが否定できない場合は胆のう摘出術になります。腺腫はがんになる可能性も高いので原則として胆のう摘出術をします。
急性膵炎
急性膵炎は何らかの原因で活性化された膵酵素で自己消化を起こしている状態で、膵臓が壊死状態になってしまいます。急性腹症の症状で発病し、食事をすると腰痛,腹痛などが増強してきます。食べたいけれど、食べると症状が強くなるので、精神的にうつ状態になりがちです。入院治療をしますが、最初の1-2週間は経口摂取禁止で、輸液で栄養補給を続けます。疼痛を緩和し、膵作用を阻害する薬剤を持続点滴に入れます。
慢性膵炎
慢性、進行性の疾患で、持続性の腹痛や背部痛があります。膵臓の破壊の程度によって消化液分泌機能低下による消化不良や,インスリン分泌障害による糖尿病などの症状が起きてきます。原因はアルコール、高脂質の食事、食生活の不規則、胆石などのことが多いのです。食生活を規則正しくし、アルコール、油もの、甘いもの、お菓子、アイスクリーム、ケーキなどを控えてください。消化吸収障害には消化酵素剤、胃粘膜保護剤、胃酸分泌抑制薬などを用い、糖尿病にたいしては経口糖尿病治療薬、インスリンなどを用います。
肝臓にやさしい食事
肝臓にやさしい食事は適正なカロリーの下で必要かつ十分な量の蛋白、ビタミン、ミネラルがバランスよく含まれていることが望ましいとされています。
食品としては多種類を摂ることがビタミンやミネラルの補給の点で大切です。良質の蛋白質を補うために、牛乳、赤みの肉、背中の青い鯖、鰺、鰯、秋刀魚などの魚、蜆などの貝類、豆腐、納豆、枝豆などがお勧めです。高脂血症や脂肪肝のある人はチーズ類を避けた方が良さそうです。植物性油は不飽和脂肪酸が含まれているので、動物性脂肪よりは好ましいのですが、肉、魚などにも油脂などが含まれていますから、調理に使うのは1日10g(大さじ1杯)を目途にして下さい。天麩羅、ラーメン、豚カツなど脂の多い食事はなるべく避けて下さい。ビタミン、ミネラルを補給するために緑黄色野菜、淡色野菜、海草類、茸類などを召し上がってください。
膵臓にやさしい食事
先ず、朝食を抜かない、夕食を早めにするなど、食事の時間にも気を配って下さい。
油もの、アルコールなどを摂りすぎないで下さい。油もの、アルコールなどは膵臓にかなりの負担をかけてしまうのです。ご飯、うどんなどの炭水化物や果物などは比較的消化しやすい食品です。
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